2016年度 理事長あいさつ

 福祉・介護施設等においては、利用者がより質の高い健康で文化的な生活を営むことができるよう、環境(人的・物理的・社会的)の整備に努めなければなりません。また、社会福祉法人として支援を要する高齢者や認知症高齢者、低所得高齢者等の受け入れ支援を行い、利用者が安心して暮らすことのできる施設経営、地域との連携を積極的に行うことが求められています。

社会福祉法人幸清会は、社会福祉法人大滝福祉会と合併することによる経営基盤の強化を図り、利用者のサービスの質の向上、職員処遇の向上に努めております。
昨年度の『安(やす)きに居(お)りて危(あや)うきを思い、至誠(しせい)にして思(し)誠(せい)を尽(つ)くし、是(ぜ)好日(こうじつ)を成(な)す』
を継続して心に抱きながら、2016年度もこれまでの経営理念である「穏やかで、楽しい、尊厳ある生活を保障する」「その人らしい、あたりまえの生活を保障する」を着実に実現し、さらに飛躍する一年となるよう、社会福祉法人の使命と責任を果たして参ります。


『安(やす)きに居(お)りて危(あや)うきを思い、
至誠(しせい)にして思(し)誠(せい)を尽(つ)くし、是(ぜ)好日(こうじつ)を成(な)す』

 『居安思危』「安きに居りて危うきを思う」とは、平穏なときにこそ、危機に対処する心構えを持つことを意味しています。この言葉はさらに『思則有備』「思えば則ち備えあり」心配りをするということが既に備えとなる。そして『有備無患』「備えあれば患いなし」準備を怠らなければいざという時にあわてずに済むと続きます。この信条によって、幸清会の経営基盤を強固にいたします。
 「至誠にして思誠を尽くし」の至誠とは、「誠」を尽くす、すなわち正直な心で、私心を捨てて全力で努力することを意味します。「至誠にして動かざる者は未だこれあらざるなり」誠意を尽くせば(真心を持ってことにあたれば)、動かされない者はない。誠を尽くせば、人は必ず心も動かされる。逆に「誠ならずして未だ能く動かす者は有らざるなり」不誠実な態度で事にあたれば、何ものをも動かすことは決してできない。「誠」をわが身に実現しようと思い、努力することが思誠です。仕事や人間関係が上手くいかないときに「わかってくれない」「動いてくれない」と他人のせいにするのではなく、全ては自分の責任であり「真心」が足りないと思えることが大切です。他人のせいにしても、何の解決にもならないということを理解する必要があります。
人の命に明日の保証はありません。だからこそ「是好日を成す」、穏やかな日々だけが「是好日」ではなく、最悪と思える出来事があっても、今日という日は二度とないので、かけがえの無い一日と考え、最期の日を生きるが如く今日を生き、自分にできることを精一杯行ってこそ、是好日となると考えます。

 社会福祉法人幸清会は、高齢者や認知症の人などが安心して暮らせる施設やまちづくりに貢献する使命を持っています。そのためには、利用者の安心と安全を保障した生活だけではなく、専門的な知識や技術を広く啓蒙することも求められます。わたしたち専門職こそが知識や技術を「心あるもの」にして、利用者や家族、地域住民のみなさまのお役に立てるような努力を惜しんではならないと考えます。
 2016年度も、効果的・効率的な法人事業の見直しに努め、行動規範を推進し、積極的に人材育成のための研究・研修を充実させ、個別ケアを実践し、利用者の生活の質の向上を目指し、事業計画の重点推進項目を全役職員の共通目標として、事業の実施に邁進することをお誓い申し上げます。
平成28年4月1日

社会福祉法人幸清会
理事長 大 久 保 幸 積